日本人が逮捕拘束・私選弁護人

韓国では、被疑者を勾留する場合には被疑事実に関する理由を被疑者に伝えて、逮捕に至った経緯、弁護人を選ぶことを伝えて緊急逮捕者であっても弁解の期間を設けなければなりません。また、拘留の場合は拘束令状が請求されない限りは、48時間以内に被疑者を釈放しなければならないと決まっています。拘留となる機関は日本の場合は法官ですが、韓国では捜査機関となり、拘留の延長は一度までと限られています。

また、日本人が韓国で逮捕された場合、日本と同様に国家資格を持った弁護士または弁理士が被疑者の代理人として、行政処分請求に対応します。代理人は、民事訴訟や刑事事件から緊急逮捕における異議、和解、取り下げの提訴などの業務を遂行します。

この対応は個人に対してのみでなく、日本企業が韓国で訴訟を行う場合は、現地にて代理人として弁護士を選択する必要があります。その場合には、状況に精通した弁護士を探すことが重要ですが、その弁護士や弁護士事務所は日系企業のかかわりや実績などが重要視されます。

弁護人は、逮捕拘束された日本人を釈放するように検察官に働きかけや、拘留を認めないよう（あるいは認めた拘留を取り消すよう）裁判所に意見や申し立てをして、なるべく早く身体拘束から解放されるように努力します。

弁護人は、誰の立ち合いもなくあなたと面会し、取り調べでどのように対応するか事案に応じた助言をしたり、可能であれば家族などに現状の様子を伝えたりするなど味方として活動が出来ます。

あなたを起訴するか否かを決めるのは検察官ですが、弁護人は検察官と話し合い意見を述べるなど、起訴されるべきではない事案が起訴されてしまうことがないように、起訴が避けられない事案においては、起訴の内容が不当なものにならないように、あなたの味方として活動できます。

また、起訴されて被告人になってしまった場合には、弁護人は、法廷で手続きが始まる前にあなたと打ち合わせをしたり、検察官が提出する予定の証拠を検討したりして、裁判所にあなたの言い分を分かりやすく伝えるための準備をします。

そして法廷では、検察官の提出する証拠が信用できないと主張したり、証人尋問や被告尋問を行って、弁護人としての意見を述べるなど、あなたの味方として適正な判決がなされるための活動をします。

韓国の裁判制度は、日本と同じように「三審制」が取り入れられています。これは、裁判において刑の確定までに上訴を許される裁判所が2階層あり、当事者の希望があれば、計3回まで審理を受けることが可能な制度のことで、国民の基本的人権の保持を目的と規定された制度のことです。

例えば地裁の裁判での一審判決が不服の場合は控訴が出来て、更にその控訴に対しても不服があれば最高裁に上告することが出来ます。ただ、韓国の場合は不服申し立ての期間が短く、日本が2週間に対して韓国は１週間です。

また、２００８年より、韓国でも国民が刑事裁判に参加できる「国民参与裁判」制度が開始されました。殺人や強盗など、重い事件のケースの場合で、国民は陪審員として参加することが出来ます。国民参与裁判は被告人が選択することが出来て、希望しない場合には通常通り裁判官による裁判が行われます。

このような裁判での弁護士の役割は、裁判所のいろいろな事件や手続きについて、当事者の代わりに補助者として関与しています。また、刑事事件では弁護士がいないと裁判が出来ない場合があります。

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